【不動産のヒント】お探し中の条件、ホントにそれで良いですか(水害ハザードマップ編)


弊社ホームページの会員になって頂く際、多くのお客様に「希望条件登録」のページにてご希望をお知らせ頂きます。

詳しい条件などもご記入頂けることも多いのですが、そんな時、それぞれの条件をどれほど重要だと感じていらっしゃるのだろうと気になる事があります。

初めて不動産をお探しになる時は特にそうなのかもしれませんが、どんな優先順位で決めていけば良いのか、悩んでしまう事でしょう。

情報サイトなどで、あれも気にしろ、これもチェックが必要などと書かれると、全部クリアできないと購入してはいけないと感じてしまうかもしれません。

そこで今回からは、【お探し中の条件、ホントにそれで良いですか】として、各種条件の本質に迫って参りたいと思います。

第一回目のテーマは「水害ハザードマップ」です。

上尾市の水害ハザードマップは見たことがありますか?

こんな感じです。

西の荒川沿いと東の見沼代用水あたりに色がついていますが、中央部分はほぼ真っ白です。

詳しくご覧になりたい場合はこちらから

あまり色の濃い部分は心配になってしまいまうかもしれませんが、例えば薄い黄色は「0~0.5m未満」の浸水が想定されているエリアになります。この最大0.5m=50cm浸水するかもしれない土地について、皆様はどう思いますか。

「絶対買いたくない」でしょうか。それとも「全く気にならない」でしょうか。

それでは「絶対買いたくない」と思っている方、検討している土地が前面道路より50cm程高く、浸水しても自分の敷地に水が入らないとしたらどうでしょう。※前面道路は浸水します。

あるいは道路と土地の高さは20cmしか違わないけれど、建物の基礎まで考えたら、道路から60cm程高くなると言う場合はどうでしょう。※敷地は浸水しますが、水に浸かるのは建物の基礎(コンクリート部分)のみです。

おそらく様々な考え方がありそうですが、上尾市でお探しの方の中には、この黄色がついているだけで選択肢から外そうと考える方も多いのではないでしょうか。

さて、それでは別の地域のハザードマップを見てみましょう。

下記は、上尾市のやや北東に位置する白岡市のものです。

上尾市と比べると、色のついた部分がかなり多いですね。

もしも、皆様が白岡市で生まれ育って、故郷でマイホームをと考えた場合、このマップの白い部分から選びますか?黄色でもいいと感じるでしょうか。場合によっては赤でも仕方ないと感じてしまうかもしれませんね。

私は、ハザードマップについての皆様の見解は、完全に合理的な判断というよりも、お探しになっているエリアに依存していると考えています。

この点について考える上で、もう一つ重要な要素があります。

上尾市のハザードマップに記載されている下記コメントをご覧下さい。

中程の赤字部分には、こんな記載があります。

「1/1000年確率以上の想定最大規模降雨」とは1000年に一度という事です。

東日本大震災のあと、1000年に一度の災害に備えようという風潮がありましたが、もともと1000年に一度とは非常に低い確率のことを言います。

1000年に一度の確率ってどんな事があるかなと考えてみましたが、戦争とかでしょうか。仮想敵国に攻め込まれる可能性が高いから、日本海側や九州、沖縄に住むのはやめようと考えている方はおそらくいないでしょう。

放射能漏れというと物騒に感じるかもしれませんが、これよりもかなり高い確率でありそうです。調べてみると日本では5年に一度くらいはある様です。かといって、原子力発電所のある県に住むことを避けるという方も聞いたことがありません。

水害のハザードマップについて皆様が慎重になるのは、きっと浸水被害のニュースが多く、身近に感じるからなのだと思います。

もちろん、なんとなく嫌だという理由は、物件選びにとってとても重要な要素ですので、是非大切にして下さい。嫌なものをお薦めするつもりは全くありません。逆に、皆様に大丈夫だろうと判断して頂いたとしても、そこだけは絶対にやめてくださいと私の方から伝える事もございます。

けれど、ハザードマップの内容が絶対的な指標ではなく、物件を選ぶ上での一つの目安だと思えたら、お考えが変わるかもしれません。せっかく見つけた良い土地を、ハザードマップだけで候補から外すのは勿体ない場合もあるのではないでしょうか。

お友達が、「あの土地は1000年に一度、最大50cm浸水するから諦めた」と言っていたら、どんなふうに感じますか。この投稿を読む前と後とで、ほんの少し感覚が変わっていないでしょうか。