【Papers】哲学する芸術 パトスから表現へ 


哲学書以外で哲学という言葉が使われる時、概ね私が考える哲学とは全く違った使われ方をする。

人生哲学とか経営哲学とか、ただの「思います」程度の内容であることが多い。

そういった言葉の使われ方が好きで無いにもかかわらず、この書籍を購入した理由は、古代にさかのぼって哲学と芸術との位置関係や違いについて冒頭で触れていたからだ。

2名の共著となっているが、前半部分では上記の様な主張を繰りひろげる一方と、概ね相槌を打つだけの他方が、微妙な関係を露呈しながら論が展開される。
他方が突っこんだ質問や強い否定をしようものなら、この書籍が成りたたない程の危うさだ。

後半は、各芸術家や職人達へのインタビューをまとめた構成になっているものの、興味の無い作家の考えについて知りたいと思わせるほどの好奇心をも持つことは出来ず、中途で読了となった。

アプローチとしては面白い書籍であったが、筆者も思いを遂げることは出来なかったのでは無いだろうか。