【音楽図鑑】The cheserasera / dry blues


初めて聴いたアルバムがどれだったのか覚えていないけれど、わずか数カ月のうちに彼等のこれまでのアルバムをすべて聴いた。

すぐに好きになり、なんでこのバンドが売れていないのだろうという単純な疑問が湧いた。

理由はみつからなかった。見付けようとするとあら探しになってしまった。

例えば曲の一番盛りあがるところで「日進月歩!」って、それじゃシャウトしづらいでしょ、、、とか。

けれど、彼等よりずっとセンスもテクニックも無いバンドが、もてはやされている世の中!

一定のレベルをクリアしても売れるかどうかは別問題。絶対に売れる作品を作るためには、唯一無二の作品がつくれないといけないのかな、なんてことまで考えてしまった。

その状況って、きっとかなり厳しい。

しかし今回のアルバム「 dry blues 」のすばらしい疾走感。

今までに無いほどサウンドと歌詞が一体になっている。

聴いているだけで何度も涙が出そうになる。

聞くところによると、今回のアルバムは再びインディーズに戻っての発売らしい。

大正解!

メジャーに縛られていたのか、それとも自己表現よりも作品としての完成度を意識する方向へ気持が向いたせいなのか。

誰が聴いても感動できる楽曲群がそこには並んでいる。

勝手に全曲解説したいくらい。

11曲目のgood morning なんて 尾田栄一郎が「頼むから ONE PIECE の主題歌に使わせてほしい」と頭を下げてきても良いくらいの傑作だ。

1~4曲目でまず一度泣き、6、そして8曲目のBlues Driverで二度目の涙(音よりも速いスピードで~なんて歌詞の乗せ方今までしてなかったし )、そしてラストの11。

本当に久しぶりに、こんなにも頭の中にメロディーが勝手に浮かんでくるアルバムに出会うことが出来た。

こういうアルバムを聴くと音楽(芸術)の素晴らしさに改めて気づかされる。

日常と非日常、身のまわりに起こりそうなことを描きながら、初めて味わう感情を呼びさましてくれる。

それは音と言葉で紡ぎだされる、生活しているだけでは気づくことの出来ない「豊かさ」。

こんな作品がつくれるなんて、本当にうらやましい。

CD特典のDVDには、PVとあわせてインタビューも収録されているが、なんだかお金に困っているらしい。

このアーティストがこれからも素晴らしい活動を続けてくれる様、ずっと応援していきたい。

さて、ワンマンのライブが楽しみだ。