もうあれから半年もたつのかと時の流れの速さを感じてしまうほど、いまだ鮮明に記憶に残る公演だった。
20年ほど前になんどか見た際とこの際とでは、受ける印象がかなり異なっていた。
パワーと芸術性に魅せられてしまった。
その後しばらくは、アート・リンゼイやシガー・ロスなど、ノイズを効果的に使うミュージシが来日する度に、ライブへ足を運ばざるを得なかった。
受容体としての自分自身が変わってしまったのか、現在進行形の音楽に自分がついて行けていないのか、確かめるために。
答えはすぐに出た。
灰野敬二の今が、やはり他の追随を許さないレベルにあった。
詩の朗読とDJ(DJという表現で内容が伝わるのだろうかと疑問が残る)で約3時間が経過した頃、発せられた言葉に一瞬耳をうたがった。
「少し休憩します」
そして 不失者。
圧倒的だ。
音の洪水とか、使い古された言葉を使うこと無しになんと表現すれば良いかわからない空間に体を取りこまれた。
他のミュージシャンの確認作業に時間が掛かったこと、もう少し言葉を見付けてから投稿しよう(結局出来なかった)と考えていたこととで、随分投稿に時間が掛かってしまった。