不動産を相続した場合、いったい何をしておけば良いのだろうと不安に思われている方も多いと思います。
弊社に寄せられる不動産売却相談の多くが、相続に関連したものとなっておりますので、ここでわかりやすくご説明させていただきます。
1.名義変更をしましょう。
不動産を相続した場合に、必ずしなくてはならないのが名義変更(相続登記)の手続です。
亡くなった方(被相続人)の名義になっている不動産を、相続した方の名義に変更する手続きを相続登記と言います。
実際には相続登記をなさるまでには、下記の様な段階を経なくてはなりません。
・被相続人の全財産の把握
・相続人が複数いれば遺産分割協議
・遺産分割協議書の作成
遺産分割協議の段階で、第三者の手助けが必要となりそうであれば、弊社にて司法書士や弁護士をご紹介させて頂くことができますのでお気軽にお声がけくださいませ。
相続登記にかかる費用
・登録免許税 ⇒ 相続登記する物件の固定資産税評価額の0.4%
・必要書類(戸籍・住民票・証明書等)の取得費用実費 ⇒ 数千円程度
主な費用が登録免許税と呼ばれるものです。例えば、固定資産税評価額が3,000万円の物件であれば、3,000万円×0.4%=12万円ということになります。評価額については、毎年市区町村から送付される固定資産税の課税明細書(納税通知書)に記載されています。お手元にない場合には市町村の窓口にて評価証明書という形で再度取得なさって頂けます。
この相続登記の手続自体を専門家(司法書士)に依頼する場合には代行手数料がかかります。お住まい一つ程度であれば、3~5万円程度でしょう。
相続登記の必要書類
【法務局にて】
・対象となる不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
【市町村役場にて】
・被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
・被相続人の戸籍謄本(死亡時から出生時まで)
・相続人全員の戸籍謄本
・対象不動産を取得する相続人の住民票
・対象不動産の固定資産評価証明書
・相続人全員の印鑑証明書
【作成するもの】
・遺産分割協議書
遺言書がありその通りに相続なさる場合には、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書は必要がありません。
書類の取得すべてを司法書士に代行して頂くことも可能です。
もちろん上記作業のすべてをご自身でなさることも可能ですので、お時間に余裕のある方はチャレンジしてみるのもよいかもしれません。
※相続登記は必ず行った方がよい
実は相続登記を行うことは義務ではなく、期限も定められておりません。とは申しましてもデメリットやリスクはありますので、必ず行うことをお勧めします。
・不動産を売却できない
所有者が亡くなった人名義のままの状態では、その不動産を売却することができません。担保にして借金をすることもできません。
売却と同時に相続登記をするという方法もありますが、特に複数の相続人がいる場合には、トラブルの元になりやすいため早めに行っておきましょう。
・他の相続人に勝手に不動産を売却される恐れがある
不動産の所有者が亡くなった場合、遺産分割協議がまとまるまでは、その不動産は一時的に相続人全員の共有状態となります。この状態でも、一人の相続人が持っている持ち分部分を第三者に売却することはできてしまいます。通常であれば、買い手がつかないはずですが、他の相続人に嫌がらせする目的で安く売却してしまう方もいるようです。
・相続登記をすることが将来困難になってしまう
相続人の間で話がまとまっていたとしても、相続登記完了前に相続人の誰かが亡くなってしまった場合には、亡くなった方のさらに相続人の協力が必要になってきてしまいます。
相続登記をせずに放置をしていると、協力を得なければいけない人数がねずみ算式に増えていき、最終的には相続登記をすることが不可能になってしまうしまいます。実はこれ、とても多いことなのです。
2.相続税の計算方法
不動産を相続した場合には、相続税がかかる場合があります。統計では相続税がかかるのは全体の約5%程度の人となっております。
基礎控除という仕組みがあるため、およそ95%の方々には相続税がかからないのです。
では、あなたが相続した不動産について、相続税がかかるのか、またかかるとしたらいくらかかるのかを詳しく見ていきたいと思います。
不動産を相続したら相続税がかかる可能性がある
相続税は、「被相続人の相続財産の合計額」が「基礎控除額」を超える場合にかかってきます。
あなたが相続した不動産の価値だけではなく、他に相続した金融資産や、他の相続人が相続したものをすべてを把握していなければ、相続税がかかるかどうかの判断はできません。
「相続税の基礎控除額」は以下の算式で簡単に求めることができます。
相続税の基礎控除額 = 3,000万円+600万円×相続人の人数
例えば、相続人が3人であれば、3,000万円+600万円×3=4,800万円ということになります。つまり相続財産の総額が4,800万円以下であれば相続税がかからず、それ以上であれば相続税がかかることになります。
では、相続税がかかる場合に、いったいいくらかかるのでしょう。
不動産を相続した場合にかかる相続税の計算方法
不動産を相続した場合にかかる相続税を求めるためには、亡くなった方が残した財産の総額を合計する必要があります。
ここで問題になってくるのが、不動産の評価です。預貯金の場合は、1000万円あれば1000万円が相続税評価となりますが、不動産の場合はそうはいきません。路線価格に面積を掛けただけでは不十分なのです。
実際に売却してしまうことができれば、その金額を取得金額と見なすことも可能です。是非ご相談くださいませ。
相続によって取得する額がわかれば、下記速算表にて相続税額の目安がつきます。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
3.不動産の相続について知っておきたいその他のこと
相続登記と相続税以外で、不動産の相続について知っておいて頂きたい事がございます。
「不動産を使った相続対策」「不動産を相続した場合にかかるその他の税金」「管理者責任」の3つです。
「不動産を使った相続対策」
対策で不動産の評価額を大幅に下げることができます。
同じ価値の相続財産でも、相続する資産の内容により相続税の金額は異なります。具体的には、現預金で相続するよりも不動産で相続する方が相続税が大幅に節税できることになります。
例えば、1億円の現預金が財産としてあった場合には、相続税評価はそのまま1億円となり、仮に相続税の税率が50%の場合は、5,000万円の相続税がかかってしまいます。
しかし、1億円の現預金で1億円の不動産を購入した場合、物件の種類にもよりますが、相続税評価は概ね7,000万円程度になります。その場合、税率が50%でも相続税は3,500万円となり、先ほどの場合と比べると1,500万円も節税になるのです。
「不動産を相続した場合にかかるその他の税金」
ここでは不動産を相続した場合にかかってくるその他の税金についてお知らせいたします。
・【相続人以外が取得した場合】不動産取得税
不動産取得税は、不動産を取得した場合にかかる税金です。固定資産税評価額の3%がかかってきます。
但し、相続により取得した場合には、この不動産取得税は原則かかりません。
ただ、遺言書によって本来の相続人以外が不動産を取得した場合にはこの不動産取得税がかかってきますので注意しましょう。
・固定資産税
相続の結果、不動産を所有することになれば、当たり前のように固定資産税がかかってきます。相続によって取得した翌年からこの固定資産税(および所在地によっては都市計画税)を支払う義務が生じます。
・【相続した不動産を売却した場合】所得税
相続した不動産を売却した場合には、譲渡所得に対して所得税が課税されます。
その土地を所有していた期間により税率は異なりますが、5年以上所有していた不動産であれば所得税15.315%と住民税5%の合計20.315%の税金を支払う必要があります。
ただしこの税率は売却金額すべてにかかるわけではありません。
亡くなった方が、その不動産を取得した当時の金額がわかる書類がある場合には、取得費用として捉えることができる場合があります。逆に、売却金額がこれを大きく下回る場合には所得税がかからない場合もございます。
書類がない場合でも売却金額の5%は控除することができます。
また現在は様々な特例が適用される場合があります。どのように売却すれば適用されるのか、弊社および提携税理士よりアドバイスさせて頂くことも可能です。
譲渡所得については不動産を売った後で確定申告を行う必要があります。
【相続した不動産を賃貸している場合】所得税
相続した不動産がアパートなど賃貸物件だった場合には、毎年不動産所得が発生するため、その都度確定申告を行う必要があります。
毎年税務署にて確定申告を行う必要がある為、なかなかの負担がかかるかもしれません。
「管理者責任」
不動産の所有者になると、「管理者責任」がついてまいります。
例えば、倒壊や漏電火災の恐れがある様ならそれなりの対策を行わなくてはなりませんし、最近では見知らぬ第三者が居住したり、違法な取引などで利用されることもある様です。
細かなところでは、ポストからあふれたチラシが敷地外に落ちて苦情を言われること等も多くあります。
空き家を相続した場合には、その管理を地元の不動産会社に依頼するか、もしくは定期的に訪問してきちんと維持管理を行うことが必要です。
さて、あなたが不動産を相続した場合に何をしなければいけないのか、今後どういった費用がかかってくるのかおおよその全体像についてご理解いただくことができましたでしょうか。
ハーバルホームは、いつでも相続不動産に関するご相談をお待ちいたしております。